求人ハローワークのスッテプを活かして

下請けや防衛庁の仕事だけに甘んじていて臆病だ」との批判を意識しての発言である。
民間機ビジネスの大変さは、新規参入時の受注獲得や事業体制を整備する費用が巨額であるというだけではない。
丹羽が指摘しているように一機種の開発で終わったのでは、受注も限られて、すぐに先細りとなるため、聞をおかず、胴体を伸ばしたり、最大離陸重量を上げたり、航続距離を延ばしたりした新型機(派生型機)を次々と開発していって、さまざまなエアラインの要望にきめ細かく応え、そのことによって受注を掘り起こしていくファミリー化をしていかなければならない。
ボーイングやエアバスはもちろんのことだが、ボンパルディアやエンプラエルにいたっては、小型機だけに中・大型機と比べて開発費が少ないため、このファミリー化はすさまじく、一九九〇年代後半から現在までのこの七、八年の問、一年に一機のハイペースで新型機を開発してきている。
ちなみに、ボンパルディアが開発してきた五0ー九〇席クラスの主なリージョナルジェット機は五、六機種あって、それぞれにまた派生型が数種類あるが、一つの機種で見ればその開発費は、ストレッチ化や改造の程度に応じて二〇〇億から五〇〇億円くらいである。
これらの中で、どれか一機種を取り出して、その開発費の償却がなされているか否かを判断するのは難しい。
胴体を長くしたり、アビオニクスも含めて共通化が図られていたりで連続しているからだ。
どちらにしても、一番最初に開発した機体の開発費がもつとも大きな額となるのは言うまでもないが、二機目は共通部分も多いので半分や三分の一の費用で可能になったりする。
とはいえ、最初に開発した機体の開発費もまだまだ回収できていない先から、次の新型機、さらに次と開発していかなければならず、生産体制もより規模が拡大して、ますますもって注ぎ込むべき資金が際限なく膨らみつづけていくのである。
このプロセスを踏んでいって、少なくとも十年あるいは十五年を経ることで、市場に数百機、あるいは一〇〇〇機を超える機数が出回るようになってはじめて、民間機メーカーとしての地位が確立され、信用が高まってきて認知されるのである。
YSHの場合は、まず最初に標準タイプが開発された後、エアラインの要求に応えて最大離陸重量を上げたタイプ、あるいは貨物タイプ、座席数を多くしたタイプと派生型機を増やしていって最終的には合計五タイプを開発した。
ところが、エンジンパワーに余裕がなくて制限され、またより馬力が大きくて適当なエンジンも見当たらず、わずかしか容量アップができなかった。
それだけでなく、当初の段階から、ファミリー化を前提にして標準タイプを計画していなかったため、うまく発展させることができず、拡販していくためのネックになっていた。
YSHの開発に取り組んだときの姿勢は、初の旅客機開発で、とにかく一機種(標準タイプ)だけでも作り上ければ、それだけで目的は果たせて十分であり、日本の実力としてはそれ以上の欲は出さないとする控え目なものであった。
予想に反して、一八〇機も売れてしまったというのが正直なところだった。
今回の三〇席では、YSHと同じ轍を踏むことなく、当初からファミリー化を念頭に置いて計画を進めている。
それでは、数十席クラスの旅客機のファミリー化のポイントはどこにあるのか。
基本的には最初に開発した標準タイプの胴体を長くしたり短くしたりするのだが、そのとき、できるだり部品や装置機器は共通化することで開発費を極力抑えれば、パイロットも新たな大々的訓練が必要ではなくなるし、整備も同様である。
だが、最初の標準タイプを計画する際に、どのようなファミリー化を狙うかによって、胴体の太さや座席を何列にして合計何座席にするかが決まってくる。
たとえば、ボンパルディアのリージョナルジェット機を例にとると、一九九一年に初飛行した通路を挟んで二列二列の合計四列の配置となる五〇席で、全長が二六・八メートルのCRI〇〇を最初に開発した。
このあと、CRI〇〇のエンジンをパワーアップしたCRJ200シリーズ(最大離陸重量を上げて航続距離を延ばした派生型機の200ER、200ーR)を一九九五年に発表した。
CRJ200ERの胴体を五・六メートル伸ばして七〇席にした、CRJ700ERが一九九九年に初飛行したが、両機は構造上の変更を最小限にとどめ、九四パーセントもの高い共通性をもっている。
それだけCRJ700ERは開発費を安く抑えているわけだ。
続いてCRJ700ERの胴体をさらに六・五メートル伸ばして八六席にした、CRJ900ERがニ〇〇一年に初飛行したが、エアラインのニーズと高い共通性との兼ね合いがポイントとなる。
ポンパルディアが選択したこの四列の配置となる胴体の太さでは、九〇席まで伸ばすのが限界で、それ以上の座席数にしようとすると細長くなりすぎて全体のバランスが悪くなり、かなり無理が生じてくる。
このため、まるっきり新しい設計の胴体にしなければならない。
その結果、ボンパルディアは三列、二列の合計五列の配置による九五席で、全長がコ二・二メートルのBRJX仰の胴体を三・五メートル伸ばして一一五席にしたBRIx・・〇の開発計画を発表した。
このようにボンパルディアの基本方針は、座席の少ないタイプの胴体を長く伸ばして座席を多くしてファミリー化していく考え方である。
これに対して、エンプラエルは一九九五年に初飛行した、通路を挟んで二列一列の合計三列の配置となる細い胴体の五〇席で、全長は二九・九メートルのER・・45を最初に開発した。
そのあと、ボンパルディアとは逆にER・・45の胴体を三・六メートル短くして三七席にしたERJ 360135が一九九八年に初飛行した。
それから、両機の中聞に当たるERJ140を開発した。
さらには、エンジンをパワーアップし、最大離陸重量を上げ、航続距離も長くした派生型機のER・・45XRも開発し、さらには短距離タイプのER・・45ーRやER・・45ERも開発した。
だが、ポンパルディアと違って胴体が細くて三列のため五〇席が限界だったのである。
このため、エンプラエルは胴体をまったく新しく設計したER・・90を開発して、二〇〇一年に初飛行した。
座席は二列二列の合計四列の配置による九八席で、全長が三三・三メートルである。
このあと、ER・・90の胴体をやはり四・七メートル短くして七〇席にした、ER・・70が二〇〇二年に初飛行した。
さらに、ER・・95、ER・・75も開発されている。
やがてER・・70およびER・・90の最大離陸重量を上げたり、航続距離を延ばしたりしてERJ1901100と命名する派生型機がこれから計画されていくことになる。
ファミリー化しだすと機種は次々と増え、さらにそれらの派生型機もそろえることになっそれにともなって開発費は膨れに膨れ上がっていくのである。
このように、さらに増え、ボンパルディアの設計思想は、リージヨナル機で搭乗する時間も飛行距離も短いため、長くなるボーイングやエアバスの中・大型機より快適性が落ちてもかまわないとして機内は簡素化していて、それだけ機体価格を安く抑えている。
購入するエアラインも規模が小さいところが多いからである。
ところが、ボンパルディアの飛行機でさえ賛沢に作られていると見たエンプラエルは、さらに簡素化していて、ブラジルの人件費の安さも加わってより機体価格を抑えているのが特徴である。
どちらを好むかはエアラインの乗客サービスの考え方次第である。
またファミリー化の設計上の問題として、座席の列が少なくて胴体が細長くなると、乗客は狭くて窮屈に感じる。
それだけでなく、あまりにも細長くなると、機体の重心の移動でコントロールが難しくなる。

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